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イベント報告:国際協力連続講座 アジアの農村と日本の私たち
第1回:アジアの農村と日本の私たち  
2007年5月11日 更新
 

タイ事業担当(本連続講座担当) 下田寛典

5月9日(水)、JVC国際協力連続講座「アジアの農村と日本の私たち」の第1回が開講されました。講師は、JVCから川合(ベトナム・ラオス担当)、鈴木(カンボジア担当)に加え、日本ネグロスキャンペーン委員会(JCNC)から大橋成子さんにご登場いただきました。

第一回目を企画するにあたり、JCNCのフィリピンでの活動地であるネグロス島で起きてきたことは、JVCのベトナムやカンボジアの農村でいま起きていることの行き着く先を示していると考えました。この問題意識に立って、JCNCの取組みから、アジアの農村で何が起きているのかを掴み、日本の私たちとのかかわりについて考えてみる第一歩となるよう企画しました。

続いて、ベトナムの農村とカンボジアの農村で今起きていることをお伝えしていきました。

ベトナムの現状を説明するJVC川合

ベトナムでは経済発展路線の開発政策により、近年、都市部と農村部の格差が拡大しており、深刻な環境問題、社会問題を引き起こしています。カンボジアの農民は、もともとは自給自足的な生活を送ってこられたのですが、土地の所有や売買を認める制度が生まれ、お金を必要とする生活に変化してきました。土地を投機的に売り払ってしまう農民も出てきています。「土地があってこその農民。自分の土地に植える作物は自分で決めたい」という農民の希望を大切にしてJVCは活動を続けています。

続いて、JCNCの大橋成子さんの登場です。

JCNCの活動地であるネグロス島やフィリピンの歴史の紹介に始まり、大橋さんご自身の体験を交え、お話は進んでいきました。

フィリピンの植民地の歴史を語る大橋さん

ネグロス島は島の農耕面積の6割が未だに砂糖農園で、19世紀から続く大土地所有制を色濃く残していました。約20年前に砂糖の国際価格ががくっと下がり、日銭で働く労働者たちはすぐにでも首を切られる状況が続きました。こうした状況に入り口は「飢えた人々への募金運動」というチャリティでも、出口はネグロスと日本人が協力し連帯していく活動ができるようにするという願いを込めてJCNCは発進しました。

最初は2年くらいで活動が終わると思っていたそうです。しかし、ネグロス島の人からは次のようなことを言われました。「自分たちが必要なのは魚でなく、網なんだ。網があれば明日から漁に行って自分たちで魚が取れる。砂糖は売るために作ってきた。でも自分たちは食べていくための農業がやりたいんだ」。これは大変なことです。魚の網をつなげていくような支援は、ネグロスの大土地所有制の長い歴史の中で、魚の編み方も忘れてしまったことをもう一度取り戻すことだったのです。

JCNCは株式会社オルタートレードジャパンを立ち上げ、「民衆貿易」を続けています。民衆貿易とは、ピープルズトレード。ピープルズトレードは、日本がいかに経済的にお金があって皆が買えるといっても、買うことで生産者が喜ぶというだけでなく、買うことで自分たちの姿勢、農業のあり方など一緒に考たいという問題意識に根ざしています。

大橋さんは、JCNCでの活動を通して、ご自身の目線や考え方が変化していったそうです。

大橋さんのお話を熱心に聞く参加者

大橋さんは、最初、2年間ということで駐在員としてネグロス島に行っていました。その頃の大橋さんの目線は駐在員のものだったと振返ります。常に日本の人たち、東京を見て、ネグロス島のことをどう伝えるのか、どうやったら分かってくれるのかを考えていた、と大橋さんは言います。夫と子どもたちとネグロス島で一緒に生活している大橋さんは、初めて一人の人間として、お金は怖い、必ず依存病という病気を作り出すことを感じた、と言います。国際協力に携わるNGOは、お金をどう活用していくのかということを真剣に考えていく必要がある、と大橋さんは強調されました。

JCNCは、高校生のスタディツアーを実施しています。毎年10人くらいの高校生がバナナの生産者や農家と1週間過ごすツアーです。ここ4・5年、日本の高校生は変わってきていると大橋さんは言います。ほとんどしゃべらない子どもが増えているそうです。そんな物静かな高校生も、このツアーが終わる頃には、表情もがらりと変わり喜怒哀楽を大きく表現できるようになっているのだそうです。

大橋さんは、最後にこう締めくくりました。

力強い言葉で話を締めくくった大橋さん

「ネグロスに関わって思うのは、ネグロスよりも、日本のほうが大変。ネグロスでは小農民が自分たちで地産地消をスローガンではなく、やろうとしている。一方、日本の自給率はめちゃくちゃになっている。ネグロスの人には、今の日本を見て、ネグロスで自立した農民となって地産地消を始めていることに誇りを持って欲しい。携帯を持って疲れた日本の子達。ネグロスの人との交流を通じて、癒されて帰る子どもたちを見て、今の日本を感じて欲しい。日本からも本物のお百姓さんがネグロスの人と交流する。日本のお百姓さんは、専門家としてああしろ、こうしろ、と指導しない。ネグロス島の農民の姿を見て、共に頑張ろうとエールを送る。お互いに学び合い、お互いの問題を共通の地平で語り合える関係が今、とても大事だと思う。」

連続講座は、これから2回、3回、4回と続いていきます。日本とアジアのつながりをこれまで以上に強く感じていける講座にしていきたいと思います。

 
 


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