『戦略PR』を読みました

数年前に所属団体でインターンをしていたPR会社勤務のK君のオススメで、『戦略PR 空気をつくる。』という本を読みました。

ベストセラーになった『明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 』(こちらも読みました。それに関してはまた別途)の続きのような感じの本です。

売れる"空気"をつくれ!

「以前とちがって商品(やサービス)が売れにくい時代になった」ということを、普通の人(=消費者)が扱う情報量が増えたこと(量のハードル)と、手にした情報を精査するようになった(質のハードル)、ということで説明しています。

そこでどうするか。この本では、そもそも商品を売る前に、それが売れる"空気"、買いたいと思わせる"空気"(この本では「カジュアル世論」とされている)をまず作る必要があるのでは、としています。

この「カジュアル世論」を作るのが戦略PR、という位置づけです。どうやってその「カジュアル世論」を作るのか、なども書かれています。

また、「カジュアル世論」のキーとなるものとして、

  • おおやけ(公共性)
  • ばったり(偶然性)
  • おすみつき(信頼性)

があげられています。

この戦略PRの成功事例もいくつかあげられていますが、この事例は、前述の『明日の広告 』や『コミュニケーションをデザインするための本 (電通選書) 』とかなり重複してますね(それくらい、まだ成功事例として説明できるものが少ないのかな?)

また、PRと広告の違いも下表のように説明されていました。

広告   PR
買う 広告枠を買うか買わないか 買わない
低い 信頼性が高いか低いか 高い
しやすい コントロールしやすいかどうか しにくい

本の最後には、PRの役目を、『「いい情報のカケラ」を見出して、増幅させる。空気をつくる。世の中に「気づき」を与える。その結果、動きが生まれる。ニーズが生まれる。ビジネスがうまくいく。そして、そのうねりに関わる人みんながハッピーになれる』として、PRは「社会のムードメーカー」になれる、としています。そのための戦略PR、というわけですね。

日本ではまだこの戦略PRは浸透していないそうで、今後そんなPRができたらいいなぁ、と確かに思いました。

でも、その"空気"すらも消費の対象になっていく?

ただ、この本で戦略PRの成功事例として「漢検DS」があげられていますが、昨今の日本漢字能力検定協会関連のニュースを見るにつけ、「うーん」とちょっと違和感を感じてしまいます。

もちろん、事件自体は戦略PR自体の責任でも(戦略PRを実施する)PR会社自体の責任でもないですが、タイミングが悪かったというかなんというか。もちろん、売りたい商品なりサービスがさまざまな意味でほんとうに"いい"ものなのかの判断をPR会社自体がするのは難しいのでは、と思います(それは「仕事を選ぶ」ことにつながりますので)。

それに、このようなケースにおいて、商品を売った後にPR会社がなにか責任をとるわけでもない、という意味では、ある意味、いままでの「売りっぱなし(を促進するPR)」と何が違うんだろう、とも思ってしまいます(これはちょっと論点がちがいますが)。

その点、この本ではもう一歩突っ込んで、売った後も顧客とコミュニケーションをとっていくところまでできていけば理想だね、というようなことも書かれていますが、その主体はあくまで販売企業であってPR会社ではないでしょうし。

この本を読んでいて、ファッションの流行(を生み出すこと)なんかは、この戦略PRの一種と見られる手法を以前から適用しているのかな、と思いました。

そういう意味では、今後この戦略PRが普通のものになっていっても、「カジュアル世論」自体が消費され続けていく状況がでてくるだけなのかなぁ、とも思えました。ちょうど、ファッションの流行が毎シーズン生み出されては消えていくように。

でもまぁ、それが社会を豊かにするものであればいいのか、な?

NPO/NGOでもぜひ適用したい

この戦略PRは、現状のNPO/NGOは大いに活用できるものと思います(もちろん、「だれがそれを担うのか?」は別問題)。

「なるべく環境に負荷をかけない生活をしよう」「なるべく安全な食べ物を選びたい」といった、それこそNPO/NGOにプラスな「カジュアル世論」はすでに大いにあるとも言えるわけですし。

ただ、NPO/NGOだからといって「公共性」が担保されている、と単純に考えるのは楽観的にすぎる、と個人的には思います。いろいろなNPO/NGOがありますからね。また、「おおやけ=官公庁・行政」という理解にしてしまうと、NPO/NGOとは異なってきますし。

自団体の広報で、これをどのように適用できるのか、今後考えていきたいと思います。こういった方面に詳しい人、ぜひお話を聞かせてください!

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私もこの本、読みました。自分は学生時代NPO、いまは環境ビジネスなのですが、カジュアル世論自体がどんどん消費されていくというご意見、まったく同感です。
NPOのPRはもちろん、NPOのウェブ活用には自分も非常に興味があります。blogときどき拝見させていただきますね!

渡邉文隆様

コメントありがとうございます。お返事が遅れて申し訳ありません。
今後もNPO/NGOのPRやウェブの使い方について記事を書いていきますので、ぜひまたご意見をください。本当に自団体について悩んでいるんですよねー。

それでは、また!

NGO団体様でも、マーケティング活動を積極的に行うのが当たり前となっている今、豊富な資金を持たず、人員的にも余裕が無い団体様は地道に、それこそ「空気」を徐々に作りだすしかないと考えてます。
※PRもお金がかかりますからね。。

大手PR会社や代理店がCSR的に取り組むケースは特別ですが。。。

仕事柄、まさに自分が関わってる所なので、成功事例が出てきたら連絡させて頂きますね。

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