『悩む力』を読みました

たまにテレビの討論番組などに出られている姜尚中(カン・サンジュン)氏の『悩む力』です。かなり売れているみたいで、図書館で借りましたが、予約してから4ヶ月待ちでした。

今の人たちが持っているであろうさまざまな「悩み」に関して、今から約1世紀前を生きた文学者・夏目漱石と社会学者・マックス・ウェーバーの著作を題材にすると共に、著者の体験を含めて答えていくような内容です。新書であるせいか、聞き書きのような内容もあいまってすらすらと読めました。

最近の流行なんでしょうか、『○○力』という本がよく見かけますね。ちょっと検索しただけでも、『断る力』『問う力』『坐る力』『回復力』『マネー力』『老人力』『質問力』『決断力』『家族力×相談力』『心眼力』『頑固力』『転身力』『参謀力』『人間関係力』『家庭力』『援助力』『資格力』…と、本当にたくさん出てきます。

皆そんなに「○○力」に飢えてるのか?とも思ってしまいますが、ただ、これらの本の「○○」はほとんどはポジティブなイメージの単語ですが、この本の「悩む」は一見そのようには思えず、そこが上にあげた本とはちょっと違う点でしょうか。

この本の章立ては、以下のようになっています。

  • 序章 「いまを生きる」悩み
  • 第一章 「私」とは何者か
  • 第二章 世の中すべて「金」なのか
  • 第三章 「知ってるつもり」じゃないか
  • 第四章 「青春」は美しいか
  • 第五章 「信じる者」は救われるか
  • 第六章 何のために「働く」のか
  • 第七章 「変わらぬ愛」はあるか
  • 第八章 なぜ死んではいけないか
  • 終章 老いて「最強」たれ

さまざまな「悩み」が並んでいますが、ただ著者は、「悩むこと」自体は否定せずに、若い時分から大いに悩んでほしい、としています。あとがきでも、『ただ、それでも、悩みはつきないはずです。「人間的な」悩みを、「人間的に」悩むことが、生きていることの証なのですから。』と書いています。

題材にあげられている漱石やウェーバー自身に対しても、両者がいかに当時の
時代背景の中で、上にあげられているような悩みに苦しみながら分野は違えどその著作を書いてきたか、を分析しています。また、著者本人も在日という立場に置かれた自身の人生をこれまで悩みながら生きてきたことを伝えています。

ただ、いかんせん個々の「悩み」に対する文章の分量が絶対的に少なく、いくつかの章では最後に答えらしきものも提示していますが、本気でそのことについて悩んでいる人に対して(分量が少ないせいで一足飛びに出したように見える結論が)はたしてどれだけ響くだろうか、と思ってしまいました。もう一歩進んで聞いてみたい、と思わせる部分も多々ありました。

個人的にはいくつかの示唆を受けることはできました。また、「ちょっと物足りないなぁ」と思われる部分に関しては、しばしば取り上げられている漱石やウェーバーの著書にあたってみるのもいいかな、とも。僕自身も「悩む」視点からあらためて漱石を読んでみようかな、と思いました。とりあえず『それから』かな。

また、TVなどでは一見とっつきづらそうな著者ですが、この本の終章を読むと、ちょっと親近感がわくかもしれません。「これからそんなことやろうと思ってるの!?」という感じで。

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姜尚中さんの著書『悩む力』の書評を探していて、このブログにたどり着きました。ぜひ書評リンクをさせていただきたいのですが。

「人生最強の名言集」とういうサイトの中に「座右の書」として『悩む力』を紹介しているページになります。
http://jsm.livedoor.biz/

武田幸一様

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