エチオピア、ソマリア、南アフリカ・・・。JVCは25年にわたってアフリカで活動してきました。それぞれの活動はどんなきっかけで始まって、どんな変遷をたどってきたのでしょうか?JVC事務局次長、壽賀一仁が語ります。
Q:そもそもJVCがアフリカで活動を始めたきっかけは?
JVCは1980年、インドシナの難民救援から活動が始まりました。難民の流出がほぼ落ち着いた1982年、「JVCはここで解散すべきか」「世界で起こっている他の問題に活動を広げていくべきか」と大きな議論になりました。
そんな中、インドシナの難民救援で共に活動してきたUNHCR(難民高等弁務官事務所)から、「アフリカのソマリアで一緒にプロジェクトをしないか?」と話が持ちかけられ、調査に入ったのがアフリカに関わった始まりでした。
Q:ソマリアでどんな活動が始まったのですか?
調査の結果、エチオピアからソマリアに逃げてきた難民を支援するというプロジェクトが始まりました。これが1983年です。具体的にはキャンプの中で農場建設や植林、保健医療、補助給食などの活動を行いました。
その後支援する難民キャンプの数を広げる一方、活動後半には地元民とのプロジェクトを模索しながら、1991年のソマリア政府崩壊まで活動が続きました。ソマリア・プロジェクトでは外国人スタッフやボランティアの数も多く、のべ41人もの日本人スタッフに混じってJVCコンサート実行委員長のアイネス・バスカビルさんも現地で活動しました。
Q:大干ばつに見舞われたエチオピアでの緊急支援とは?
ソマリアで活動を始めた翌年の1984年、多くの人々が飢餓に苦しみ世界的ニュースになった大干ばつが、エチオピアで発生しました。JVCのメンバーはこの地へ調査に入り、1984年の終わりにエチオピアでの緊急支援が始まったのです。そこでは、1年間の病院開設期間中に飢餓に直面した5万人の外来患者と5千人の入院患者を診察した緊急医療救援活動が行われました。
緊急状態が去った後、JVCは「そもそもエチオピアはなぜ干ばつになってしまったのか?」と、問題の原因に迫っていきました。すると、干ばつは「山に木がなくなったからだ」「鉄砲水が出たからだ」など環境の破壊が大きな原因だったのです。しかし、木さえ植えれば村の生活が立ち直るわけではありません。そこで、以前の環境を取り戻しながら、村の生活の改善、そして衛生状態の改善に取り組む、総合的な農村開発プロジェクトに取りかかったのです。
私自身も1990年から4年弱、現地で活動しました。エチオピアは1992年に政権が変わりましたが、その後もプロジェクト地を変えながら活動は継続し、最終的に2002年まで続きました。
Q:南アフリカでの活動はどう始まったのですか?
ソマリアやエチオピアのほかにも、アフリカ各地で協力を求める人々とどう関わっていくのか、JVCは模索を続けていました。例えば1984年にはモザンビークで活動ができないか調査を行いましたが、JVCとして責任を持って関わりきれるかどうかとの判断から活動は見送られました。こうしてしばらくはソマリアとエチオピアの活動だけが続きました。
しかし、1989年のベルリンの壁崩壊など東西冷戦でかたまっていた世界の構造に大きな変化が生まれ、アフリカ各国でも新しい動きがおこりました。そこにJVCはどう取り組んでいけるのか、JVCがちょうど10周年を迎えた頃に真剣な議論を行いました。
新しい展開の可能性は3つありました。エチオピアやソマリアの「アフリカの角」地帯で活動を続けるか。もしくは、サヘル地帯の砂漠化問題に取り組むか。もしくは、南アフリカにおけるアパルトヘイトの人権問題に取り組んでいくか。その後1年間の調査を経て、1992年から現在につながる南アフリカのプロジェクトが始まりました。
Q:2005年にスーダンでの活動が始まりましたが、そのきっかけは?
現在のスーダンへの関わりのきっかけは、「ルワンダとの縁」に遡ります。1994年、ルワンダで100万人以上が虐殺された内戦の直後、アフリカ日本協議会の調査団にJVCから私が参加しました。
そしてその後もJVCは、この調査を契機に設立されたアフリカ平和再建委員会と協働する一方、ブルンジを含む周辺地域の紛争予防に向けた政策提言やタンザニアからの難民帰還においてイギリスのNGO「オックスファム」を支援するなど、ルワンダへの協力を行いました。このようにしてJVCの中に、平和の再建への関心とともに、アフリカ中央部への地域的関心のきっかけが生まれたように思います。
その後、平和の再建への関心は旧ユーゴスラビアや東チモール、そしてアフガニスタンとイラクでの活動へと引き継がれていき、しばしアフリカから離れていきました。しかし2005年、「新しくアフリカの問題に取り組んでいこう」という機運がJVC内部に高まり、ちょうど和平が訪れたスーダン南部の問題、難民の帰還から取り組もうと、スーダンでの活動が始まりました。
Q:今後JVCはアフリカにどう関わっていくのですか?
私個人の思いとしては、JVCのスタッフやボランティアの中から、「アフリカに関わろう」「アフリカで今一番表に出てきている問題に取り組もう」と現地に飛び出していく人がもっと増えていくといいなと思っています。それが結果として、新しい国との関わりやネットワークにつながるのではないでしょうか。日本とアフリカのパイプを太くしていく、そんな一端をJVCが担っていきたいと思います。
話:壽賀 一仁(すが かずひと)
日本国際ボランティアセンター(JVC)事務局次長
1965年東京都生まれ。1989年にJVCに参加し、翌年からエチオピアの干ばつ被災民救援に携わる。アフリカ、中東、アジア、南米で農村開発に関わる一方、緊急救援活動や中東での現場担当も経験。現在は事務局次長としてJVCの農村開発プロジェクト全般に関わりながら、日本各地の地域の取り組みとも広くネットワークを結んでいる。
過去の活動の詳細は会報誌のバックナンバーをご覧ください。


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